２０１３．０９．１２．

　　　　　　　　中山道を歩く　１８−３　　　　　　中津川宿〜大井宿

今日もお天気に恵まれ、４７名がきつい陽射しの中を元気に歩いた。
宿舎を８時２０分に出発し、一旦、昨日の菱風荘まで戻った。この工場が中山道に面していた。

旧駒場村に入った。津島神社参道の石碑の先、「小手の木坂」を登ったところに、「双頭一身
道祖神」があった。文化年間のもので、身体は一つなのに頭は男女別々という形をしていた。

この先で、あたかも竜がうねる姿のように見事に刈り込まれた生垣を見掛けた。豊かさを感じた。

次第に気温が上がり、我々は朝から二度ばかり小休止した。町中のことで木蔭は殆んどなかった。
ようやく小さな喫茶店が一軒あったが、中には５人ぐらいしか入れなかった。

１９号線との合流地点では、中山道が消えてしまっていた。
そこは木曽衆の領地だったらしく、嵐讃岐という武将の供養碑があった。

道はこの後も、六地蔵、千旦林村高札場跡、三ッ家一里塚跡、坂本立場跡、などの石碑を時折
見掛けるのみであった。立派な石塔群があったが、これは近年、中山道が拡幅された時に各地
から集めて来られたものであろう。花を手向けた形跡はなかった。茄子川（なすびがわ）村という
愉快な地名もあった。坂本立場は、延喜式で東山道の宿駅と定められた古い歴史を有する。
此処には有名な観音様があるらしかった。
中津川名物の栗が見事に実る風景も見掛けた。

秋葉常夜燈の先に大きな自然石で出来た中山道の道標があった。これから恵那市に入った。

広久手坂、岡瀬沢の常夜燈、と進み、甚平坂公園まで頑張った。
その名は、武田家の家臣根津甚平に由来する。小高く風通しの良い小奇麗な公園であった。
広重の絵を石に刻んであったのも珍しく美しかった。甚平には数々の伝説が伝えられ居り、塩尻
の桔梗が原から犬と鷹を連れ、馬で化物の雉を此処まで追いかけて来たという話が面白かった。
この坂は、明治１３年の天皇御巡幸の折、２m掘り下げられ、一層「尾根道・眺め良し」になった。

虚子に師事した、橋本鶏二の　　　初蛙　広重の絵の　峠かな　　　の句碑も良かった。

関戸一里塚跡の石碑には江戸より八十七里とあった。我々もよく歩いたものだ。
菅原神社では牛が狛犬の役目を勤めていた。

この先に上宿の石仏群があった。今日はこうした光景を沢山見掛けた。
ここは大井宿を一望出来る位置であった。宿の人たちはその郊外にこうした石仏を建て、
病気平癒と悪疫の侵入防止を祈った。特に「痰切地蔵」は、「風邪（がいき）をひいたら
地蔵を拝め」と言い伝えられて参拝者が多かったという。

坂を下り、明知鉄道のガードを潜ると、大きな南無阿弥陀佛石碑と高札場跡があった。
大井宿に入ったのであった。

一行は宿の見学を後にし、昼食会場の「いち川旅館」に直行した。正午を少し過ぎていた。

４００年もの歴史を有するこの料理旅館は、一行の神戸さんに紹介して戴いた。
１４〜１６代の女将さんが揃ってお元気だったのは見事であった。料理もなかなか凝っていた。
ちょっと早かったのだが、淡青会旗の次回世話役への引継式が食後此の場で行われた。

　この大井宿は、美濃十六宿
　中で最も繁盛した。
　中山道のみならず、この先で、
　下街道と称する名古屋や伊
　勢への近道と分岐する地点
　に近かったからである。
　伊勢参りや善光寺詣の人で
　賑い、往時は４０軒を超える
　旅館があったという。
　それが今はこの「角屋」が
　１軒残るのみになった。
　道は此処で桝形に曲がって
　いたが、昭和１０年に直線道
　路に付替えらた由であった。

午後は３班に分かれ、地元のボランティアガイドさんに宿内を案内して戴いた。

本陣であった林家の門はなかなか立派であった。
昔は東向きだった角屋は、今は南を向いていた。古い写真が残されていた。
この他、明治天皇の行在所になった岩井家の倉庫群、古屋宅に移された長屋門、七日市が
開かれた市神神社、仏師の福崎日精師が残されたライオン像などが印象に残った。

恵那駅はこの宿から歩いてすぐだった。
恵那市は名古屋市の中心から６０�`しか離れていない。
帰路は、恵那駅を１５：３２発の快速電車に乗ると、１時間ちょっとで名古屋に着いた。
新幹線への乗り継ぎに約１時間を要したが、小田原経由で、大船には１９：２８に帰着した。

僕は四日間ですっかり日焼けした。さすがに少し疲れて、翌日のテニススクールはお休みにした。

　　　※　　　今日の旅についても、山崎和男さんの楽しい動画を是非お楽しみ下さい。