２００９．１０．２２．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７５回目の誕生日

　　
　　今日７５回目の誕生日を迎えた。
　　父母の生年を超えてもう数年になる。

　　この日僕は、本郷の東大総合研究博物館
　　で開かれている「鉄−１３７億年の宇宙誌」
　　を見に出掛けた。

　　「鉄の歴史」というと、これまではせいぜい
　　数千年前にさかのぼって、人類が鉄を利用
　　し始めたところから教えられたが、今日の展
　　示では、もっと悠久で壮大な哲学に基いた
　　テーマが展開されていた。
　　大きな感動を覚え、あらためて自分が生涯
　　鉄鋼業界に身を置いたことを誇りに思った。
　　１０の１０乗年毎に、１０年前、１００年前、１０
　　００年前、１万年前・・・と、年代をさかのぼり、
　　更に１０年後、１００年後・・・と未来を予測し
　　て思考する方法も斬新であった。

　　私たちは鉄がなければ生きていけない。
　　たとえば呼吸で得た酸素を全身に運び、エネ
　　ルギーへ変換するのに鉄を利用している。
　　驚くべきことは、これは人間に限ったことでは
　　なく、地球上のほとんどの生命体が鉄を利用
　　して存在を維持している。
　　また生命に危険な宇宙放射線が地表に届か
　　ないのも、地球の中心に存在する鉄が強大な
　　磁場を作り、安全な環境にしているお蔭である。
　　これまで、鉄は人間の道具としてだけ意識され
　　ていたが、こんな物語を聞くと、地球はまさに
　　「鉄の惑星」であることをよく理解出来た。

今日からは、“高貴”高齢者に仲間入りする。
此処まで生きて来れたのは、家族、友人、先輩、後輩諸氏、それにご先祖様のお蔭だが、
自然界すべてに支えられて来た結果でもある。
今後も、好奇心を抱き、綱紀を守り、香気を放って、光輝に充ちた生涯を送れるよう努力しよう。

子供や孫、紀子から、お祝いのことば、電話、手紙、プレゼント、ご馳走、を色々貰った。
僕はまことに幸せ者である。