９　　　　　　　父の日のプレゼント　　　　　　　　　　　０３．０６．１６．

　昨日は父の日。

　会社を退職して家に居る末娘から、半袖シャツのプレゼントを貰った。

　綿９０％の涼しそうなシャツで、なかなか洒落ている。

　「若い人が選ぶとやはりセンスがいいね」と、紀子も喜んでくれた。

　彼女は今新しい仕事を探している最中（１　リストラ　参照）だが　、家に居る時は

掃除､洗濯、庭掃除、お料理と結構家事を手伝ってくれている。

　どこか適当な嫁入り口はないかと思い、実際にも、時折お声はかかるのだが、本人は

そんなに焦っている風はない。こちらもそういう事は当事者同士の問題だからと、あまり

立ち入らないようにしている。

　世間には独身の男性も多いが、彼らものんびり構えているみたいである。

　日本はますます少子化がすすむ。

　別居している長男や長女は今まさに自分たちの子育ての真最中で、とても「父の日」

を思い出している余裕はないだろうと思っていたら、長女からは近々遊びに来る旨の

メールが届いた。本当は昨日来るつもりだったが、双子のうちの一人が風邪をひいて

来られなくなったという。彼女も我々のことを忘れては居らず、何かプレゼントも用意して

いる気配であった。有り難いことだ。

　我が家周辺では年寄りだけで暮らす家が増えた。

　夫婦が二人とも元気な世帯は良いのだが、まったくの一人住まいになった家は心細い

だろうなと拝察している。紀子もそういう世帯には常々特別の警戒心を払っている。

この近くは生活困窮者は皆無で、独居老人対策が民生委員の主な仕事になっている。

　我が家も何れは老人だけの家になりかねない。

　そうなった時、庭の手入れや家の管理はどうなるかな、と少し不安がよぎる。

　しかしその時は、家を手放すばかりになるだろう。

　人間も、どうせこの世は、自然や世間様から借り物をして生きているのだ。

　お返しすべき時が来ればお返しすれば良いのだと思う。