２００５．０８．３０．

　　　　　　８月３０日　元帥は舞い降りた　　　　　　毎日新聞夕刊　から

　　　午後２時５分。厚木航空基地。「人気俳優の都入りの
　　ような場面であった。儀式も儀礼もなく、あっさりと、ざっく
　　ばらんであった。米国式な、あまりに米国的な・・・・・」

　　　飛来した連合国最高司令官マッカーサーの到着光景を、
　　翌日の毎日新聞はこう伝えた。

　　　コーンパイプを手にタラップを下りるサングラスの元帥。
　　外国記者団が殺到する。米軍将兵で整列したのは軍楽
　　隊だけ。バスの屋根から眺める者。記事には初めて敵の
　　素顔を見たような驚きと戸惑いがにじむ。
　　
　　　マッカーサーはこの時６５歳。戦争初期、フィリピンで
　　日本軍に追い落とされ、雪辱の執念を胸にオーストラリア
　　で反抗の指揮を執った。「メルボルンから東京まで、思え
　　ばその道は長かった」。厚木でそう声明すると、田園を
　　貫く街道を南下し横浜に向った。

　　
　　沿道の日本人警備兵らは「天皇行幸」の警護のように外を向いて立ち、一行の車の方は
見なかった。実際、彼はそれから２０００日、独裁的な新支配者として君臨することになる。

　　一行は当面の総司令部になる横浜税関を経て宿所のホテル・ニューグランドに入った。
夕食はビフテキ。毒を気にする側近に彼は「誰も永久には生きられないよ」と笑ったという。

　　東京進駐前に神奈川県がまず連合国軍を受け入れさせられた。県民の動揺は大きかった。

　　横須賀。朝から海兵隊員らが続々と上陸し、施設を接収した。強姦事件がその日のうちに
発生した。　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　　戦後６０年の原点　　　占領の秋　―　　から

　　　　　　米軍の日本への進駐はこのように神奈川県から始まった。
　　　　　　相模湾には、軍艦が５隻、黒い姿を見せていたという。
　　　　　　この日から６０年。今日、日本では政権選択を問う衆議院選挙が告示された。
　　　　　　米軍が上陸した横須賀はまさに小泉首相のお膝元。歴史の皮肉を感じます。
　　　　　　セ・リーグ優勝の天王山、阪神ー中日戦は雨で中止になった。

　　　　　　厚木基地のある大和市、座間・海老名については、「旅行記」の３７と３８、
　　　　　　「武相逍遥」をご覧頂きたい。