２　　　　　高額納税者番付　　　　　　　０３．０５．２３．

　今年も高額納税者番付が公表され、新聞は一斉にそれを報じた。

　この不景気にも、高所得を上げる人は結構居るものだと感心した。

　しかしちょっと淋しかったのは、その上位を占める人たちにパチンコや消費者金融

関係者が結構多かったことである。これらの事業が社会にどのような貢献をしている

のだろうかと考えると、古い人間の僕はちょっと納得できないものを感じる。

　松下幸之助さんや本田宗一郎といった製造業のトップは全く影を潜めてしまった。

　それに代わって、女性用下着、美容外科医、健康器具、化粧品などの分野で高収

入を得た人が増えた。元国際線の客室乗務員から、足もみサロンの「癒しビジネス」

に転じて成功した人も現れた。

　口を開くと「不景気、不景気」と叫ばれるけれど、それは昔の価値観で判断するから

そうなるのであって、現代という時代は、此れまでとは異質なものを人々が求めるよ

うになって来て居り、そういう分野は決して不景気ではないのだと思う。

　所得税に限っていえば、年金収入だけに頼る僕は今年初めてそれがゼロになった。

　有り難いような、嬉しいような、申し訳ないような、複雑な気持である。

　「国民の税金を無駄にするな」などとも、大声で云える立場ではなくなった。

　もっとも、固定資産税や地方税は、まだまだ相当納めさせられているし、消費税も

そこそこにはなるだろう。

　本が読まれなくなったのか、文筆業のベストテン紹介がなかったのも淋しかった。